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京友禅デザイン画「草稿」× 芸術家/肉体彫刻家「和久井 拓」氏のコラボ作品紹介

Art | 2022.04.09

Text by Hinata official

  • KYO"NEXT"YUZEN
  • Works

今回、京友禅デザイン画「草稿」× 「和久井 拓」氏のコラボが実現しました。

詳細記事:京友禅デザイン画「草稿」× 芸術家/肉体彫刻家「和久井 拓」氏による新しいアートの形

この記事では、和久井氏が京友禅デザイン画「草稿」から受けたインスピレーションを元に手がけた作品を紹介いたします。

本作品群は、”懐古愉歴(かいこゆれき)”の言葉の通り、風化、浸食、腐食、剥落などの経年変化をネガティブなものとして捉えるのではなく、むしろ時間と共に様々な反応が作り出す美しい変化としてポジティブに捉え表現に落とし込んでいます。

過去に世に送り出された伝統的な作品たちが、歴史と取り巻く環境の中で美しく影響し合い、姿を変え現在、未来へと至ります。人間の仕事が、時を経て環境作用による変化で新たな作品へと至る。それは作為と無作為が織りなすコラボレーション作品とも言えるのかもしれません。

ギャラリスト3Dに展示した作品群

■ 作品概要(和久井氏からのコメント)

”本作品群で私が取組んだことを簡潔に申し上げますと、京友禅の本質的な美しさや魅力が如何なるものであるのか、作者である私とご覧いただく皆さんのフィルタを通した検証作業であり実証実験であります。

懐古愉歴のタイトルが表すとおり、歴史的、環境的に様々に状態変化した京友禅の姿を眺めながら、その奥ゆかしさがどこから来るものであるのか?元来の色彩を失ったことで、逆説的に証明される深層的で根源的な魅力はどのようなものなのか?多面的、多角的に分析しながら愉しんでいただくことを目的としております。

経年や環境変化の中で、京友禅の特徴とも言える鮮やかな色彩は、長い年月をかけて風化や褪色などによりその殆どが失われてしまいます。しかし、その後も美しく輝き続けるのだとしたら…それは一体なぜなのか?その本質的な魅力に迫っていきます。

描写においては、経年、環境変化の必然性と偶然性を担保するため、デジタル加工によるフィルタの重なりの偶然性など含め、作為と無作為のコントラスト表現を多分に取り入れております。

自然環境下では、絶え間なく腐食や浸食、風化が進み、いつしか跡形もなく消え去るのが物質の定め(※厳密には構造を変え環境下に還元されていく)。その瞬間的な輝く一コマを切り取り、キャンバスに落とし込んだのが本作品群です。

本作品の前後にも美しく輝く瞬間は幾度も存在するでしょう。

キャンバスには描ききれない、その瞬間も頭に思い描きながらご覧いただけると幸いに思います。”

■ 作品テーマ “懐古愉歴(かいこゆれき)” 〜古きを懐かしみ、歴史を愉しむ

作品タイトル:『風霞屡雨-白流-』(ふうかしばあめ-はくりゅう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は『遠山風景』。遠山と波間に咲く四季の草花を表現したものである。本作ではタイトルの通り、風雨などにより長い年月をかけ風化し灰色となった景色に霧がかかり幻想的に流れる様子を描き出したものである。まるで燃え尽きたかのような灰色の世界に皆さんはどのような色彩を思い描くだろうか。

作品タイトル:『風霞屡雨-金流-』(ふうかしばあめ-きんりゅう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は同上の『遠山風景』。こちらは上作品の風化と褪色が、素地のマテリアルと経年、環境変化により山吹(金)色に変化した状態を描いた作品である。モノクロの世界と同様に元の京友禅の色彩は既に失われているが、図柄の上を流れる黄金色の霞は新たな彩を与えるだけでなく、見る者に歴史の積み重ねによる昇華を視覚的に訴えかける。

作品タイトル:『鉱湖水彩-赤晶-』(こうこうすいさい-せきしょう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は『辛夷』。辛夷(こぶし)をモチーフとした早春の時期、花と枝を非常に繊細に描いたものである。本作では、色彩を失った辛夷を火山活動などによって形成されたカルデラ湖の水中から見上げる形で描き出した。経年で褪色した景色を経年で色づいた水というフィルターを通して眺めてみる。どちらも歴史を重ねたもの同士が描きだす懐古愉歴な芸術作品である。 

作品タイトル:『鉱湖水彩-青晶-』(こうこうすいさい-せきしょう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は同上の『辛夷』。上作品と同様に水中からの眺めとなるが、カルデラ湖の水中に含まれるミネラル分はバクテリアに分解されると様々な色彩を織りなす。本作はタイトルの通り青色に変化した水中からの眺めである。

作品タイトル:『洞川虹彩-虹礁-』(どうせんこうさい-こうしょう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は『御簾に松』。御簾の中に御所車や貝桶、鶴や吉祥文様を細密画のように繊細に配置し、松も割り付けを細かく表現した縁起の良い図柄である。本作では、悠久の時を重ねて形成された鍾乳洞の中でも、カルデラ湖同様にバクテリアの働きにより色彩が変化した洞窟河川の水中を覗き込むような形で描いた。色彩が失われたキャンバスが、歴史と環境変化により生み出された産物が彩っていく。

作品タイトル:『洞川虹彩-光礁-』(どうせんこうさい-こうしょう)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は同上の『御簾に松』。タイトルの通り洞窟河川の水中バクテリアによる発光現象により、元来の京友禅作品には存在しない色と光で彩られた状態を描いた作品である。

作品タイトル:『金滲剥落』(きんじんはくらく)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は『琳派四季草花に流水』。琳派調で四季の草花をあしらい、背景には流水、竹をアクセントにした伸びやかな図柄である。本作品では、金箔に覆われた表面が湿気や乾燥による収縮により剥落したり、カビや汚れ、水分などによって滲みが現れた状態を描いている。他作品と同様、既に元の色彩は失われた状態であるが、歴史と環境が作り出した景色は、元の作品にさらに奥行きを加え、見る者に昇華された印象を与える。

作品タイトル:『虹奏鉱彩』(こうそうこうさい)

作品説明:元になった京友禅デザイン画”草稿”は同上の『琳派四季草花に流水』。本作品は、積層岩上の図柄が鉱床から吹き出した地下水が空気に触れ変性、さらにバクテリアの分解作用などにより様々な色彩が加わった様子を描いたものである。

■ NFTとして近日販売開始予定

今回のコラボ作品は本記事内で紹介したもの以外も順次制作が進んでおります。京友禅デザイン画”草稿”を元にした新しいアートの形をNFTにて「HINATA」のマーケットプレイスオープンと合わせて近日中に販売開始予定です。

和久氏が手がけたような2次創作の可能性が日本の歴史を代表する京友禅デザイン画”草稿”にはあります。京友禅デザイン画”草稿”自体のNFTも同時に販売開始予定なので、是非手に入れて独自のアートへ昇華させてみてください。

WORKS

H.WAKUI

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